Ute Laboratory - Polymer Synthesis and Characterization
 

4. 保護基を用いる縮合反応をベースにした高分子の精密合成  

 

 ペプチド合成の方法論を合成高分子に応用して,分子量や共重合連鎖が正確に規制された「単一化学種からなる」オリゴマー・ポリマーの合成をめざしています。  
 

選択的な保護基の脱離と縮合をくりかえして分子の鎖長をのばす

 両末端の官能基を異なる保護基A,Bでキャップした化合物を合成します。A,Bがそれぞれ選択的に脱保護できるように設計しておくと,右の反応1サイクルで分子の鎖長は2倍になります。これをnサイクル繰り返せば,鎖長は2のn乗倍になるでしょう。このような方法で,分子量の均一なポリアミドやポリエステル,ポリエーテルなどの縮合系ポリマーが合成できるはずです。

 反応そのものは単純ですが,各ステップを注意深く行わないと純度の高いポリマーは得られません。実際にやってみると,系の溶解度や精製プロセスにかなりの工夫が必要なことがわかります。そこに高分子合成の化学があります。



保護基を用いた縮合反応による
オリゴマーの合成スキーム

マルチセグメントの均一なブロック共重合体をつくる

 上記の方法で合成した,いろいろな両末端官能性のオリゴマーをモジュールとしてつなぎ合わせると,ブロック長が完全に揃った共重合体が得られます。従来の重合法で合成した(ブロック長に分布のある)ポリマーと比べると,固体になったときの集合状態がかなり異なることがわかるでしょう。物性にも際だった特徴が期待できます。



ブロック長に分布のないポリマーの凝集構造


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