検出感度の検討
DOSY測定における微量成分の検出感度
実験
モノマー単位のモル比で0.47 mol%のPHEMAを含むPMMAのDOSY測定を行いました。
PMMAのOCH
3基に対して約300分の1のPHEMAのOCH
2基のピークがはっきりと検出できました。
PHEMAおよびPMMAのそれぞれに由来するピーク上の拡散係数分布から
その分子種の識別が可能であることも確認できました。
この濃度では十分な検出感度と拡散係数軸の分離が得られました。
注意点
同一化学シフト上のシグナル
DOSYは同一化学シフト(δ/ppm)の分離は得意ではありません。
微量成分由来のシグナルが他のシグナルと重なっている、または溶媒のシグナルに隠れている場合は
うまく分離できない場合があります。
さらに微量な成分の検出
カルボン酸のように
1H NMRでは観測しにくいものや、さらに微量な成分を検出したい場合には
官能基化することで、化学シフトが重ならなくなったり、検出されるプロトン数の増加につながり、精度があがります。
メチル化、トリメチルシリル化
メタクリル酸やアクリル酸など、カルボン酸が含まれるものを例にあげると
メチル化することで3倍の強度で観測することが可能です。
メチル化にはジアゾメタンやジアゾメタンを扱いやすくしたTMSジアゾメタンなどを使用します。
さらに検出感度を上げたい場合や、メトキシ基とシグナルが重なる場合、トリメチルシリル化が有効です。
トリメチルシリル化にはBSTFA等を用います。メチル基と違い、TMS基は外れやすいので、取り扱いには注意が必要です。